国産ワクチン「準備不足だった」 遅れる開発の理由は

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聞き手・小川裕介 瀬川茂子
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 国内の新型コロナウイルスワクチン開発では、創薬ベンチャーのアンジェス(大阪府茨木市)が先行した。ウイルスのたんぱく質をつくるDNAを使った新しいタイプの「DNAワクチン」を大阪大と共同で開発し、昨年6月に治験を始めた。今春にも実用化と期待されていたが、実際には遅れている。アンジェスの創業者で、ワクチン開発をめざす森下竜一・大阪大寄付講座教授に話を聞いた。

――いち早くワクチン開発に着手しましたが、まだ実用化に至っていません。一方、海外のメーカーはすでに実用化しています。

 「プラスミドDNA」と呼ばれる体内にDNAを入れる技術は、すでに血管再生遺伝子治療薬「コラテジェン」として実用化しています。安全性や品質に関して、医薬品としては良いものができていました。一方、感染症に関してワクチン開発の経験はありませんでした。

 新型コロナウイルスは初めての未知のウイルスでもあり、(感染を防ぐはたらきのある)中和抗体の量をどう評価すればいいのか、DNAワクチンをどれくらいの量で、どれくらいの間隔で接種すればいいのか、ベースになるデータがなく、一から試験を行いました。

 その結果を見ないと次に進めませんでした。

 その意味では、準備不足であり、本格的な試験に進むのに時間がかかりました。

 一方、現在は基本的なデータがあります。

 変異株に対するワクチンや、今後未知の新たなウイルスが出た場合は、海外と同じ速さで開発できると思います。

 海外で実用化の早かった「RNAワクチン」は、政府の援助でエボラウイルスなどで開発を進めていて、遺伝子を入れ替えればよいだけの状態になっていました。その差は大きい。

――アンジェスのワクチン開発を推進する協定を昨年4月に結んだ大阪府の吉村洋文知事は、昨年のうちに10万~20万人分製造し2021年春~秋に実用化をめざすと発言しました。

 国内のインフルエンザワクチ…

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