枝野氏「政権とったら原発ゼロ法案作らない」 課題強調

吉川真布
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 立憲民主党枝野幸男代表は3日、さいたま市内での講演で、原発政策について「政権をとったら『原発ゼロ法案』みたいなのはつくらない」と述べた。旧立憲は共産党などと3年前、全原発の速やかな停止などを盛り込んだ「原発ゼロ基本法案」を国会に出したが、今回は原発に依存しない社会に向けて現実路線をとる考えを示した形だ。

 枝野氏は「原子力政策について、私は2013年以降ほとんど言っていることは変わっていない。とにかく原発はやめる。政権をとったらすぐにやめ始める」と強調した。

 一方で、枝野氏は「『廃炉をします』『原発ゼロです』と宣言したら、原発が無くなるわけではない。そこからが大変だ。いまある原発を廃炉にするということは、核燃料をどこかに保存・保管しないといけない。どこが引き受けるのか」と問題提起した。

 その上で「政権をとったら原発ゼロ法案みたいなのはつくらない。まずは廃炉をしても電力会社がつぶれないようにする。いまの原子力発電所は電力会社にとって資産だが、廃炉が決まった瞬間に負債になる。利益を上げないと、廃炉をする費用だけかかる。すべての電力会社が債務超過になって倒産する。だから、倒産しないような制度をつくらないといけない。でないと、電力会社に廃炉と言わせることはできない」と話した。

 枝野氏はまた、「原発をやめることはもう結論が出た。2011年3月11日以降、稼働している原発はせいぜい2基とか3基、多くても5基。つまり原発に依存しなくても、社会が成り立つことはこの10年間で証明された。原発ゼロは実現している。フェーズは変わった。いま問われるのは、やめきるための課題だ」とも訴えた。

 旧立憲は17年の衆院選で「原発ゼロ基本法案」の提出を公約に盛り込み、18年には、すべての原発を速やかに停止し、法施行後5年以内に廃炉を決定する▽原発の再稼働はせず、新増設は認めない――などの内容を柱とした同法案を共産党などと共に国会に提出していた。(吉川真布)

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