歓迎?違和感?不妊治療に保険適用、経験者や医師の思い
水戸部六美
体外受精などの不妊治療に対し、菅義偉首相は公的医療保険を適用する方針を打ち出した。看板政策の一つとして議論が進む。歓迎の声がある一方、「保険適用」という言葉がひとり歩きする現状への不安や、慎重な議論を求める声も少なくない。
京都府に住む田崎美幸さん(34)は、不妊治療を始めて2年になる。
32歳で結婚。一般の産婦人科で、医師の指導のもと排卵日の近くに夫婦生活をもつ「タイミング法」をしばらく試したが、妊娠しなかった。
高度な不妊治療ができる専門の医院に転院。検査をすると卵管がつまっていることがわかった。
一般的に不妊治療は、タイミング法、精子を子宮内に注入する「人工授精」、採卵して体外で受精させて子宮に受精卵を戻す「体外受精」などと治療をステップアップさせていく。
田崎さんはいま、人工授精を省いて、体外受精を試している。「保険適用で専門医院への敷居が低くなれば、適切な治療を早く受けられる人が増える」と期待を寄せる。
奈良県の丸尾年志子さん(43)は、別の思いをもつ。
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32歳のとき、不妊治療を始…