編集委員・辻外記子
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、2020年にがん検診を受けた人が前年に比べて約3割減ったという調査結果を日本対がん協会がまとめた。全国の42支部のうち、32支部が答えた。協会は例年、年間1100万人にがん検診を実施し、約1万3千人のがんを発見している。
国が推奨する胃や肺など5種のがん検診を受けた人は、のべ約394万人。約567万人だった19年の31%減だった。臓器別では、肺と胃は約32%減。子宮頸(けい)がんは25%減だった。
昨春の緊急事態宣言を受けて検診を中止・延期した自治体が多かったことや、人混みを避けて受診を控える人がいたことが影響したとみている。秋には受診者数は前年並みになったが、4~6月の大幅減を補えなかった。
協会の担当者は「がんの発生が減っているわけではない。検診受診者が減れば、早期で見つかるがんが進行期になる恐れがある」と受診を呼びかける。乳がんや子宮頸がんなど受診間隔が2年に1回の検診で、20年に受けるはずだったのに未受診の場合、21年の受診を検討し、自治体などに問い合わせをしてほしいとしている。(編集委員・辻外記子)