慰安婦訴訟の弁論再開へ 韓国裁判所、審理必要と判断か

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ソウル=鈴木拓也

 韓国の元慰安婦の李容洙(イヨンス)さん(92)ら20人が日本政府に総額30億ウォン(約2億9千万円)の賠償を求めた訴訟の弁論が24日、ソウル中央地裁で再開する。米バイデン政権を介して日米韓3カ国協力の重要性を確認した日本と韓国だが、両国の関係改善には歴史問題にからむいくつもの訴訟が重くのしかかる。

 李さんらが原告の訴訟は1月13日に判決が予定されていたが、直前に判決期日が取り消され、弁論の再開が決まった。裁判官は理由を明らかにしていない。

 同地裁では1月8日に別の裁判官が、元慰安婦らが日本政府を相手取った同様の訴訟で、原告の請求を全面的に認める判決を出した。国家は外国の裁判権に服さないとする国際法上の原則「主権免除」が適用されるとの日本政府の主張は退けられた。法曹関係者によると、この判決を踏まえ、裁判官は追加審理が必要と判断した可能性があるという。

 判決の言い渡し時期は見通せないが、日本政府は主権免除を理由に裁判自体への参加を拒んでいる。仮に原告が勝訴しても、1月8日の確定判決と同じく、日本政府が賠償に応じる見込みはない。原告側は勝訴した場合、韓国内にある日本政府の資産差し押さえも検討するが、在外公館の不可侵を定めたウィーン条約があり現実的には困難だ。

 このため、李さんは2月、韓国政府に対して、日本の賠償責任を求めて国際司法裁判所(ICJ)への提訴を求めた。韓国政府は、元慰安婦たちの「意向を確認する」として、判断を示していない。

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