茶の産出額、鹿児島が初の首位 50年トップの静岡陥落

稲野慎
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 鹿児島県の茶の産出額が2019年は252億円になり、50年以上トップであり続けた静岡県を抜き、初めて全国1位になった。大規模な茶栽培で産出額が安定している鹿児島県は、20年産でも勢いを維持している。

 今月発表された農林水産省の統計データで明らかになった。

 茶の産出額は、栽培農家が摘み取った「生葉」と、それを加工した「荒茶」の産出額の合計で表される。農水省の生産農業所得統計で19年の産出額は鹿児島県が生葉163億円、荒茶89億円。静岡県は生葉147億円、荒茶104億円。農水省によると、茶の産出額の統計が残る1967年以降静岡県が全国1位を続けてきたが、19年は鹿児島県が初めて1億円上回った。

 静岡県では近年、茶の産出額の低下傾向に歯止めがかからない。多くの茶畑が山の斜面や台地に集まり、大型機械が入りにくいために収穫量が伸び悩み、担い手の高齢化も進む。19年は春先の冷え込みで生葉の収穫量も落ち、産出額の低下を加速させたという。

 一方の鹿児島県は、知覧茶の産地で知られる南九州市などの平地で、大型機械を使った大規模な茶栽培が盛んに行われている。生葉の収穫量や荒茶の生産量は微増傾向で産出額も安定。将来の経営見通しが立ちやすいことから担い手不足の問題も深刻化していないという。

 農水省の統計データでは、15年と比べた19年の産出額は鹿児島県が25億円増え、静岡県は55億円減った。20年産も生葉の収穫量は鹿児島県が11万8400トンで静岡県を5800トン上回った。荒茶の生産量も鹿児島県が2万3900トンで、静岡県にあと1300トン差まで迫っている。

 鹿児島県の担当者は「県内の茶の関係者が一丸となって頑張ってきた成果が出た。産出額全国1位はうれしい」と喜ぶ。静岡県の担当者は「海外も含めた新たな販路の開拓などにより、産出額の低下を食い止めたい」と話した。(稲野慎)

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●2019年の茶の産出額の上位5府県

(生葉と荒茶の合計、農林水産省などへの取材に基づく)

1位 鹿児島県    (252億円)

2位 静岡県     (251億円)

3位 三重県京都府 (66億円)

5位 福岡県     (35億円)

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