山中教授も有働アナも愛聴者 ラジオ英語、長寿番組に幕

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笠原真
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 34年間にわたって続いてきたNHKのラジオ講座「実践ビジネス英語」が、3月27日の放送を最後に終了する。国際ビジネスの実用英語が学べる先駆的な番組として1987年に始まり、幅広い年代のリスナーから愛されてきた。この講座で英語を身につけた人は数知れず、番組の終了を惜しむ声が上がっている。(笠原真)

テキスト販売、3千万部超

 ずっと講師を務めてきたのは杉田敏(さとし)さん(77)。米国の新聞社で経済記者として働いたり、日米の外資系企業で勤務したりと、国際ビジネスの最前線を英語で渡り歩いてきた。旺文社から81年に出していた英会話本がきっかけでNHKから講師を打診されたという。

 30年以上にわたり1人の講師が同じ語学番組を担当したのは、96年間のNHK史上でも他にないという。「最初はできるかどうか不安だった。半年やったら評判がよくて、気づけば時間が経っていた。もう体力も衰えて引き際なのかな」と笑う。当初は「やさしいビジネス英語」として始まったが、実践的でレベルの高い内容から「『全然やさしくない』という声がいくつも寄せられた」と振り返る。

 番組の特徴は、自らの経験をもとにビジネス会話を再現した寸劇だ。海外の取引先などを相手に英語で奮闘する日本人会社員が主人公で、杉田さんが語句やフレーズを解説する。「ビジネスパーソンは、教養のある雑談ができないと海外では通用しない」と、題材は貧困や教育、人種や医療など多岐にわたる。

 NHK出版によると、月刊のテキストは累計で3千万部以上を売り上げた。担当者は「他にも同様の語学番組はあるが、これほどテキストが売れた例はない」と話す。

 リスナー層はビジネスパーソンだけでなく、20代の学生から、引退した70代までと幅広かった。「番組のおかげで海外駐在員になれた」「面接でうまく答えられて転職できた」――。リスナーからはそんな声が寄せられてきたといい、杉田さんは「役立つ番組を作らなければという良い重圧になってきた」と語る。

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