水道事業の委託先を検討していた宮城県は12日、水処理大手「メタウォーター」(東京都)など10社でつくるグループが最有力になったと発表した。委託することで、20年間で計287億円のコスト削減を見込んでおり、2022年4月の事業開始をめざす。

 専門家による県の諮問委員会がこの日、検討結果を村井嘉浩知事に答申した。応募した3グループのうち、メタ社が代表を務めるグループを最も高く評価した。前田建設工業(東京)が代表のグループが次点で、東北電力などでつくるグループは収支計画が基準を満たさず失格だった。

 メタ社のグループには、フランスに本拠を置く世界最大規模の水道事業者「ヴェオリア」のグループ会社や、オリックス、日立製作所なども加わっている。各社が出資して運営会社を設立し、メタ社が議決権の過半数を占めることになるという。

 さらに、施設の運転や維持管理を担う会社も県内に設立する予定で、諮問委では、新たな雇用の創出が期待できるほか、修繕などのノウハウを積極的に導入することなどが評価された。

 こうした民間委託の背景には、水道事業を巡る厳しい経営環境がある。今後、人口減少にともなって利用者が減る一方で、施設設備は老朽化が進み、更新費用がかさむ見通しがあった。危機感を抱いていた県は昨年3月、民間委託でコストを削減しようと事業者を募集し、審査を進めてきた。

 売却の対象となるのは、市町村への上水の供給や、企業への工業用水の供給など計9事業。施設の所有権は県が保持したままで、運営権だけを売却する「コンセッション方式」だ。今回は、一括して20年間の運営権を売る。

 県によると、これら9事業の20年間の事業費は1850億円かかる見通しだったが、メタ社グループの計画では287億円が削減できる見通しだという。

 答申を受け取った村井知事はこの日、報道陣に対し、「我々が考えていたよりも100億円近く削減効果が出た。人口減や施設の老朽化に対して、早めに手を打つことは非常に重要だ」と売却の意義を強調。災害時に設備に影響が出た場合は、「責任を持って行政が改修、交換をする」とした。

 厚生労働省によると、大阪市も22年4月から上水事業にコンセッション方式を導入しようと検討している。実現すれば、ともに全国初になるという。(徳島慎也、窪小谷菜月)

関連ニュース