女性役員の内部登用どう増やす 工夫する企業続々

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藤えりか
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 日本は活躍する女性が世界に比べ少ないと指摘されています。経団連は企業の役員に占める女性の割合を、2030年までに30%以上にする目標を掲げました。これまで女性役員は社外からの起用が多く、一部有識者の兼任もめだちます。社内からの登用を後押ししようと、様々な工夫が広がりつつあります。

東証1部上場企業の取締役の女性比率はわずかに7.1%で、しかも大半が社外取締役。内部昇格は1.2%にとどまるといいます。なぜ、女性は役員になれないのか。藤えりか記者がポッドキャストで解説します。

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 日本IBMで昨夏、グループ史上最年少の女性社長が誕生した。子会社3社を統合し発足した社員数千人の「日本IBMデジタルサービス」の初代社長、井上裕美さん(40)だ。日本IBMの執行役員にも就いた彼女は、2003年に新卒でシステムエンジニアとして入社した。官公庁向けのシステム開発などの現場で経験を積んできた。

 IT業界は女性の従事者が世界的に少ない。数の多さから情報交換や経験の共有がしやすい男性に比べ、女性は仕事から出産・育児まで気軽に相談することが相対的に難しい。「情報格差」は登用の壁にもなる。日本IBMは、女性技術者の社内ネットワーク「COSMOS(コスモス)」などを立ち上げており、登用の下支えになっている。

 井上さんもコスモスに助けられた一人だ。昨年12月、社内システムを統合しようとするうちに、「とるべき方法がわからない」壁にぶち当たった。チャットツール「スラック」を通じて、ある女性技術者に「仕事に直接関係ない件で申し訳ないのですが、相談がありまして」と相談した。すぐに詳しい人を紹介してもらい、年内に解決できた。女性技術者にすぐたどり着いたのは、コスモスで存在を知ったためだという。

 井上さんが初めて管理職になったのは、第1子の育児休暇が明けて数カ月後の30歳の時だった。「当初は私自身、乳児がいるのに大丈夫だろうかと思ってしまいましたが、それこそ『アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)』ですよね」

 今回の就任では、日本IBMの山口明夫社長から「周りを巻き込んで前に進むのが強み。今の急速な変化に必要なリーダーの素養だ」と背中を押されたそうだ。

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 内部登用を進めようと、日本…

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