思い出の図書館 懐かしいね 「山下記念館」公開

寺島笑花
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 1972年まで図書館として使われていた山口県山陽小野田市郡(こおり)の山下記念館で6日、当時の写真や貸し出していた本を展示する「思い出図書館」が始まった。老朽化のため、解体が決まっている記念館。子ども時代を過ごした住民らが訪れ、当時を懐かしんだ。7日まで。

 山下記念館は1933(昭和8)年、旧厚狭小学校の隣に開館した。地元の山下美代蔵さんが、飛行演習中に亡くなった息子の死を無駄にせぬようにと寄付した金が元手になった。当時はまだ珍しかった鉄筋コンクリート造りで、住民の誇りだった。

 付近が山陽新幹線のルートとなり、小学校は71年に移転。図書館もその役目を終えた。その後は、市歴史民俗資料館の倉庫として使われていた。

 旧厚狭小に通っていた中村節子さん(75)は館内の壁や手すりに触れながら、「小学校の頃の思い出に吸い込まれるよう。当時はすごく大きいと思っていたけど、とっても小さく感じる」。娘や孫ら家族7人と訪れた杉山雅博さん(64)は「写真を見るとこんなだったなと思い出す。懐かしい」と顔をほころばせた。

 解体を前に感謝の気持ちを示そうと、市教委が企画した。訪れた人がメッセージや思い出を書いた紙を貼る「思い出の樹」も設置されている。社会教育課の舩林康則課長は「こんなに多くの人が訪れるのはほぼ半世紀ぶり。建物も喜んでいると思う」と話した。(寺島笑花)

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