地方債でも初のマイナス利回りか 購入者側が利払い負担

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末崎毅
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 地方債が全国初のマイナス利回りとなる可能性がある――。神奈川県は5日の県議会総務政策常任委員会で、こんな見解を明らかにした。日本銀行が2016年に導入したマイナス金利政策の余波が、地方でも鮮明になった格好だ。

 この地方債は「猶予特例債」。新型コロナウイルス感染症に関連して「納税者か家族が病気にかかった」「事業で利益が減るなど著しい損失を受けた」といった場合に無担保で納税が猶予される制度がある。その税収減を補うための特例債で、県が他の自治体と共同で発行。1年で返済する。

 その利回りが、なぜマイナスになる可能性があるのか。県の説明によると、地方債は国債に次ぐ信用度があるとされ、発行時の利率も国債金利に左右される。利率は返すまでの期間が短いと低くなる傾向があり、日銀のマイナス金利政策で3~5年国債の利率は0%を下回っている。猶予特例債は、その3年国債よりも短い「1年債」だ。

 一般財団法人地方債協会(東京)によると、市場で公募する地方債がマイナス利回りで発行されたことはない。返済までの期間が短い地方債が少ないことなどが理由とみられる。しかし特例猶予債は1年債。このため発行時の利率によっては、「地方債で初のマイナスの利回りとなる可能性が出てきている」(三沢普・県資金・公営事業組合担当課長)のだという。

 利回りがマイナスになると、利払いを県ではなく債券の購入者側がすることになる。県によると、購入する投資家が少額の利子をいちいち県に振り込む形ではなく、発行時に県が元金と利子相当額をまとめて受け取り、返す期限が来たら元金だけ返す。国債はマイナス金利でも売却益を狙って購入が進んでおり、県は地方債でも大手金融機関などが購入するとみている。

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 県によると、県が受け付けた…

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