「つらい気持ち押し殺した」葛藤抱えるきょうだいの子

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畑山敦子
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 病気や障害のある兄弟や姉妹のいる中高生や大学生たちが語り合う場を、当事者たちがつくり始めている。兄弟・姉妹を支えながら自分の人生をどう生きるかという不安を、率直に話し合える場をつくりたいとの思いから始まった。

ヤングケアラーの実情を語り合うオンラインイベントを開催します。記事の後半でご案内します

兄弟のケアは 進路選択を前に悩む女子高校生 

 「家から遠くて下宿が必要な大学に行きたいけれど、私が兄弟のことを手伝えなくなったら大変だと思って、家族には言えなかった」

 昨年11月、障害などのある兄弟や姉妹のいる「きょうだい」を支援する一般社団法人「ケアラーアクションネットワーク協会」が開いた「中高生のかたり場」で、参加した高校3年生の女子生徒が打ち明けた思いに、大阪府の大学3年生の清崎鈴乃さん(21)や協会のスタッフが耳を傾けた。

 中高生のかたり場は同協会が不定期で開催し、この日は「大学生に聞いてみよう」というテーマで、知的障害のある弟(18)と暮らす清崎さんも参加した。

 同協会の代表理事でダウン症のある兄がいる持田恭子さん(54)は、これまで自身のように大人になったきょうだいが経験や悩みを語り合う場を運営してきた。ただ、参加した人からは「大人になった後、どのように兄弟、姉妹にかかわるのかわからず、周りにも話せない学生時代が一番しんどかった」という声も聞いた。ケアラー自身の将来を考える時期こそ話し合える場が必要と、同協会は昨年から中高生のかたり場を始めた。

 持田さんは、子どもや学生世代の「きょうだい児」について「親とともに兄弟、姉妹を支えなければという意識がどこかにある。たとえ親から『好きな道を選んで』と言われても、兄弟を意識して進路や仕事を選んだ方がいいのかと悩んでいる。率直に思いを話し、自身の人生を大切に考えてほしいです」と話す。

 家族を介護する18歳未満のヤングケアラーの中にも、きょうだいはいる。埼玉県が昨年、県内の高校2年生を対象に行ったヤングケアラーの実態調査では、ヤングケアラーとされる約2千人のうち、ケアする相手が兄弟・姉妹と答えた人は22・5%で、祖父母・曽祖父母、母に次いで多かった。

本音を話せる場がほしい 

 以前から協会の活動に参加する清崎さん自身も、数年前まできょうだい児としての思いを一人で抱えていた。

 清崎さんは母と弟、中学3年…

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