文化は滅びないだろう #コロナを生きる言葉集
#コロナを生きる言葉集
疫病も応仁の乱もあった。それらを乗り越えてきたので、文化は滅びないだろう。(狂言師・野村萬斎さん)
狂言師の野村萬斎さん(54)は昨年、コロナの影響で大事な公演が中止になってしまった。しかも、稽古の最終日に。練習を繰り返し、生みの苦しみを味わって、やっとこれから晴れの舞台に立てると思っていた。「非常にショッキングでした」
昨年5月から7月までは、公演がまったくできなかった。「生命の危機も、演劇の死も頭をよぎった」という。
思い浮かべたのは、能や狂言の700年の歴史だった。「疫病や応仁の乱、町中が焼けてしまうような危機がありました。でも、それらを乗り越えて今に伝わってきているので、文化は滅びないだろうとも思うのです」
生まれた時から、伝統を受け継ぐ家系を背負ってきた。「縦軸」に祖父や父がいて、息子である自分がいる。そして、次の息子につないでいく。「春が来るのを待つ間に、体力を落とさないように走ったり、息子とひたすら稽古をしたりしています」