薬師寺の東塔、1300年前の姿に 特別開扉の見どころ

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岡田匠
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 奈良の世界遺産薬師寺の東塔(とうとう)(国宝)が約12年間にわたる全面解体修理を終えた。昨年に落慶法要をしてから一般公開されるはずだったが、コロナ禍で延期され、3月1日から特別開扉される。現代の技術を結集させ、約1300年前の姿を取り戻した東塔の美に迫った。

 高さ約34メートルの東塔は、薬師寺の創建当初から残る唯一の建物。大小六つの屋根があり、六重塔に間違えられるが、三重塔だ。大きな三つの屋根の下にそれぞれつく飾り屋根は裳階(もこし)と呼ばれる。そのリズミカルな建築美から「凍れる音楽」と称される。

 奈良県によると、明治時代の修理で一部が解体されたことはあったが、今回は全面解体した。2009年に始まり、昨年12月に終えた。総事業費は28億3千万円。国が65%、県と奈良市が4%ずつ補助した。

 薬師寺によると、特別開扉では東塔内に入れないが、初層(1階部分)の扉が開けられ、内部を見ることができる。まだ仏像を納めていないため、中心に立つ直径約90センチの心柱(しんばしら)が見られる。東塔を支える基壇は、創建当初から残る基壇を覆うように新しい基壇を作ったが、心柱だけは宗教性を重んじ、創建当初の礎石にのせている。

 初層の天井画も見どころだ。極楽浄土に咲くとされ、宝相華(ほうそうげ)と呼ばれる花の文様が描かれている。縦約1メートル、横約2メートルの鏡を2枚置き、そこにうつった天井画を見ることができる。

 境内の西僧坊では東塔から下ろした創建時の水煙(すいえん)を展示する。水煙は東塔の最上部にある銅製の飾りで、火よけの意味もある。東西南北に4枚あり、衣をなびかせて舞う飛天の透かし彫りが施されている。

 3D計測したデータをもとに富山県高岡市伝統工芸高岡銅器振興協同組合が新たな水煙を作った。この水煙は19年に東塔におさめられた。

 そもそも東塔のような仏塔は…

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