青いひな人形、医療従事者にエール 闘病中の職人の思い
新谷千布美
新型コロナウイルスの治療にあたる医療従事者への感謝の思いを込めた青いひな人形が、滋賀県東近江市五個荘金堂町の近江商人屋敷「中江準五郎邸」で飾られている。難病を抱えるひな人形職人が約10カ月かけて作った。展示は4月中旬まで。
作品名は「清輝雛(せいきびな)」。男雛(おびな)(高さ67センチ)と女雛(めびな)(同52センチ)が、優しげな表情で向かい合っている。衣装は県内の伝統的な麻織物「近江上布(じょうふ)」。濃い青から緑がかった青までのグラデーションが印象的だ。
制作したのは近くに工房を構えるひな人形職人の東之湖(とうこ)さん(49)。20代から免疫系の病気「膠原(こうげん)病」を患い、難病と診断され、皮膚がんや凍傷に似た症状と闘っている。2004年からは琵琶湖をモチーフにした人形を作り始めた。
五個荘地区で毎春開かれる催し「商家に伝わるひな人形めぐり」に合わせて作品を寄贈しており、今年は、医療従事者へエールを贈りたいと企画した。
東之湖さんは「私自身、多くの方に支えてもらってきました。色合いや表情など、少しでも癒やされるように作りました」と話す。
月曜休館。問い合わせは中江準五郎邸(0748・48・3399)…