障害等級の違いによる郵便投票制限は「違憲」 女性提訴

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中村建太
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 昨年10月にあった知事選で、障害等級の違いを理由に郵便による不在者投票制度が利用できなかったのは違憲だとして、岡山市東区の40代女性が22日、国に154万円の損害賠償を求める訴訟を岡山地裁に起こした。選挙権の行使が侵害され、精神的苦痛を被ったと主張している。

 現行の郵便投票制度は1974年に創設され、対象となる身体障害者らは全国約165万人(2015年時点)。公職選挙法施行令は、対象の下肢障害者を1~7の等級のうち重度の1、2級のみに限定している。女性の代理人弁護士によると、この規定の是非を問う訴訟は過去に例がないという。

 女性は一人暮らし。両脚が不自由で、「下肢機能障害4級」の障害者手帳を持つ。長距離の歩行が難しいため、昨年10月25日の知事選では、郵便による不在者投票を希望。事前に岡山市東区選挙管理委員会へ連絡したが、公選法施行令の規定などを理由に断られ、投票できなかったという。

 総務省によると、規定はなりすましなどの不正投票を防ぐ目的があるという。郵便投票を巡っては1951年の統一地方選で、病気と偽るなどの不正利用が横行。翌年に制度が廃止された後、身体障害者を中心に復活を望む声が高まり、74年に等級による区別を設けた現行制度ができた。

 女性側は訴状で「1、2級に限定した現行の制度運用でも不正は生じうる」と主張。「等級による区別に合理的な理由はなく、法の下の平等などを定めた憲法に違反する」と訴えている。

 さらに、より低い等級でも郵便投票が可能となるような立法措置を国が怠っているとも主張している。

 市選管は取材に「制度に沿って適切に対応したと考えている」とした。(中村建太)

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