「第2の安全網」で非正規守れ 法政大・酒井教授
働くってなんですか
シフト制のアルバイトら非正規の働き手をどう守っていくかが大きな課題になっています。国の支援策を受けにくいなど、セーフティーネットの限界がコロナ禍であらわになっています。ほころびをどう繕っていくべきなのか。社会保障に詳しい法政大の酒井正教授(労働経済学、社会保障論)に聞きました。
――コロナ禍で収入が減った働き手の補償策として、政府は会社が働き手に払う休業手当を支援する「雇用調整助成金」を強化してきました。ところが、大企業で働くバイトなどに休業手当が届かないという声が相次ぎました。政府は中小企業向けだった休業支援金の対象に、大企業のバイトを1月から加えました。一連の対応をどうみますか。
「政府は雇用保険を中心としたセーフティーネットからこぼれ落ちる人々をできるだけ救おうとしています。動きも速い印象です。それにもかかわらず非正規雇用の減少は大きく、必ずしも救済しきれていない現実があります」
――なぜ雇用調整助成金による救済から、非正規雇用がこぼれ落ちたのでしょうか。
「申請の手続きが煩雑という指摘が多いですが、それだけだろうかと疑問があります。かなり簡素化が進んだようにもみえるからです。ひょっとすると、企業が長期的に客足が戻りそうもないからバイトの雇用はもう切ってもしかたがないと考えているかもしれない。そこは分析が必要です。また、手続きを簡素化しすぎると、不正受給が増えたり、データが不足したりすることにもつながりかねません」
――どういうことでしょうか。
「例えば、本来であれば外国人労働者にも雇用調整助成金がどれほど利用されているか把握できることが望ましいですが、行政サイドからは手続きが煩雑との批判がある中で、日本人と外国人を分けて記入してもらう雰囲気ではないとの声も聞きます。簡素化をしすぎると、政策の検証が難しくなる弊害もあるのです」
――コロナ禍が長引き、雇用調整助成金の財源も雇用保険の保険料だけではまかなえなくなっています。
「緊急発動的な特例措置として、雇用調整助成金を大規模に投入したのは評価できます。しかし、期間が長くなると副作用も大きくなります。雇用をつなぎとめるだけではなく、期待の抱ける新しい職場に移動してもらうことも考える時期にきています」
■生活保護は最後の救済手段…
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