中国原潜侵犯「混乱極めた」 元防衛次官が明かす舞台裏

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編集委員・藤田直央
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 中国の原子力潜水艦が2004年に国際法に違反して潜没したまま日本領海を侵犯した事件で、内閣官房で対応の中心となった元防衛官僚が反省を込めて当時の混乱ぶりを明かした。日本政府の判断が遅れ、潜水艦の領海通過後に自衛隊への海上警備行動が発令されるなど、ちぐはぐな対応が批判を招いていた。

 この元防衛官僚は17年まで防衛事務次官だった黒江哲郎氏。事件当時は小泉内閣で内閣官房安全保障・危機管理室(安危室)の総括参事官を務め、事件後の政府対応の検証をふまえ官房長官から注意を受けた関係者の一人だ。

 防衛問題のサイト「市ケ谷台論壇」に黒江氏が昨年末に寄せた回顧録によると、04年11月10日未明、防衛庁から黒江氏に「国籍不明潜水艦が潜没したまま航行を続け、もうすぐ(南西諸島の)先島周辺の領海に侵入する恐れがある」と電話が入った。

 当時の対処方針では、他国の…

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