「10年前はまだ希望が…」コロナに地震、肩落とす福島

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酒本友紀子 岩田恵実 小手川太朗

 13日夜に福島県などを襲った最大震度6強の地震が起きたのは、コロナ禍による県独自の観光支援策の再開や、飲食店への時短要請が解除される直前だった。旅館や飲食店は出ばなをくじかれ、先が見通せない不安にさいなまれる。

 「東日本大震災、コロナ禍、今回の地震と災難が続いて心が折れそうです」

 福島県相馬市の景勝地・松川浦。太平洋に大小の岩々が点在する風光明媚(めいび)な景色と、東北有数の水揚げを誇る漁港を抱えていたこの場所のそばで旅館「かんのや」を営む管野拓雄さん(62)は、深いため息をつく。

 10年前の震災では津波で1階の大広間や厨房(ちゅうぼう)が浸水。近隣では最も早い5カ月後に再開にこぎつけ、原発事故の風評被害を乗り越えようとしていたところに全国で新型コロナウイルスの感染が広がった。宿泊客は激減し、宴会の利用も少なくなって貯金を切り崩しての営業を強いられた。

 政府の観光支援策「Go To トラベル」に加え、福島県が打ち出した宿泊客1泊あたり5千円を助成するプランは「第3波」で休止に。県の支援策への申し込みが再開する15日を控え、相馬市が設けた同様の支援策の利用期限が今月末に迫る中で同市を襲ったのが震度6強の地震だった。

 客室の天井が落ちたり壁が壊…

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この記事を書いた人
酒本友紀子
福島総局
専門・関心分野
共生社会、人権、司法、国策と地方