世論に迫られた辞任劇「五輪にケチ」開催へ強まる不安

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小野太郎
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 東京五輪パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言から辞任までの騒動は、「火消し」を急いだ政府・自民党と、批判がやまない世論との乖離(かいり)を浮き彫りにした。コロナ禍のなかでの五輪開催の準備ばかりでなく、政権にも大きな傷を残した。

 「五輪にケチがついた。辞任はしょうがない」。11日、森氏辞意の情報を耳にした自民党の閣僚経験者はため息をついた。若手議員は「もっと早く辞めてほしかった」と嘆いた。

 政権与党の幹部は、東京五輪の成功を自らの浮沈と重ねる。だが、首相経験者で引退後も政界に影響力を振るう森氏に、多くの議員は擁護するか沈黙を守り続けた。五輪に関わる各界と政治をつなぐ役回りとして、森氏以上の存在は見当たらない――。そんな見方も支配的だった。

 森氏の3日の発言内容については、菅義偉首相は翌4日の衆院予算委員会で「あってはならない発言」と指摘した。ただ、政府から森氏に注意する役回りは橋本聖子五輪相に任せ、自ら進退問題に踏み込むことは避けた。首相は5日の衆院予算委で野党から辞任を促すよう求められると「その権限はない。組織委は公益財団法人。首相としてそうした主張をすることはできない」などと述べ、続投を容認する考えも示した。

 森氏の発言を受け、官邸側は…

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