合格祈る D51「滑らない砂」 引退から半世紀のSL
山口県下松市の笠戸島で半世紀近く展示・保存されている蒸気機関車(SL)のD51(デゴイチ)から取り出された砂が、合格祈願のお守りになった。車輪の空転を防ぐ「滑らない砂」として、SLの保存活動に取り組む広島市在住の奈良山孝司さん(47)が手がけた。島内のキャンプ場「笠戸島家族旅行村」で無料配布している。
キャンプ場近くの国民宿舎大城の駐車場にある「D51―592号機」。このSLには急勾配を登る際などに車輪が空回りしないよう、運転士の操作で車体から線路に滑り止めの砂をまく装置が備わっている。
市内の日立製作所笠戸工場(現・日立製作所笠戸事業所)で1940年に製造され、72年に現役を引退。73年から、現地で展示されている。
奈良山さんはJR貨物のグループ企業に勤め、貨車の整備を担当している。2年前まで笠戸事業所に勤め、「D51592を燦(きらめ)かせる会」を立ち上げて、塗装などの保存活動にも取り組んできた。
奈良山さんが合格祈願の砂をつくったのは今回が初めて。各地の鉄道会社の同様の取り組みに目を付けた。D51の車体に残されたままの砂を採取し、少しずつプラスチックシートに封じ込めた。砂は採取後に市内の寺で祈禱(きとう)を受けたという。「活躍していた現役当時の砂なので、受験生に力を与えてくれれば。毎年の恒例行事として続け、市民に愛されるSLになってほしい。芸が滑らないよう芸人さんにも渡しました」と奈良山さん。
家族旅行村の入り口付近に50個ほど置かれている。評判がよければ、追加でつくることもできるという…
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