ワクチン接種、国の貧富で確保に差 外交カードにも利用

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ロンドン=下司佳代子 エルサレム=高野遼 ニューデリー=奈良部健 北京=高田正幸 モスクワ=石橋亮介 野口憲太
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 新型コロナウイルスの世界の感染者が1億人を超えた。感染拡大に歯止めをかけようと各国のワクチン争奪戦が激しさを増すほど、世界規模での格差が生まれている。

 「豊かな国々がワクチン接種を進め、貧しい国々は成り行きを見ている。世界で持てる者と持たざる者の格差が日々広がっている」。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は25日、危機感をあらわにした。

 WHOによると、少なくとも49の高所得国で3900万回以上のワクチンが接種されたが、最貧国の一つ、アフリカのギニアでの接種は25回だけ。英科学情報・分析会社エアフィニティーによると、欧米で実用化した米ファイザー・独ビオンテック製のワクチンは85%、米モデルナ製は全てを先進国に確保された。

 英オックスフォード大などが27日午後7時時点で公表しているデータによると、世界で投与されたワクチンは約7100万回。このうち米国が3割超、中国が約2割、英国が約1割を占め、イスラエルを含めた上位4カ国で7割を占める。アラブ首長国連邦、インド、ドイツイタリアなどが続く。

「ワクチンナショナリズム」に言及するテドロス氏

 人口当たりの接種数で世界トップは、人口の約3割となる約270万人に接種した中東のイスラエルだ。高齢者や医療従事者ら約130万人はすでに2度目の接種を終えた。3月末までには、16歳以上の国民全員への接種完了を目指す。

 ネタニヤフ首相はファイザー…

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この記事を書いた人
高野遼
アメリカ総局
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