米名門大「脱オンライン」への挑戦 探り出した感染対策

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宮地ゆう
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 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、大学はリモート授業ばかりでよいのか――。米国の大学が試行錯誤の末に一つの対策を探り出し、徹底した感染対策の中で寮生活や対面授業を可能にした。全米から注目を集める対策の要は、学部生が週2回PCR検査を受けるという内容で、詳しい感染予測モデルから導き出した。危機の時の研究者や大学の役割とは何か。関係者は今も問い続けている。

「キャンパスで学生生活送りたい」

 米北東部の名門「アイビーリーグ」の一つで、ニューヨーク州イサカにあるコーネル大学。昨年12月、体育館に次々と学生が入っていった。大学が学内外9カ所に設営したPCR検査施設の一つになっている。

 同大では昨年9月から学生や教職員ら計約2万8千人がPCR検査を受ける。学部生は週2回、大学院生や教職員は週1~2回だ。

 昨年3月から、コロナの感染拡大を受けて授業を順次オンライン化。大学を閉鎖し、寮や下宿にいた学生は自宅に戻っていた。

 だが、「キャンパスで学生生活を送りたい」との声が強く、学生の半数以上が「授業がオンラインでも、9月の新学期から大学周辺の下宿などに戻る」と回答。マイケル・コトリコフ副学長らは「授業だけでなく、大学での学生生活も重要な教育の柱だ」と考え、再開の道を探り始めた。

 このころ、同大のピーター・フレイジアー准教授(情報工学)の論文が話題になっていた。

 複数の検体をまとめて検査し、陽性が出た場合のみ個別に再検査する「プール方式」を使えば、大規模なPCR検査が可能になる。さらに、頻繁に検査することで、社会全体の感染を大幅に抑えられる、と書いていた。

 准教授は、副学長の依頼で11人の研究チームを作り、学内の感染を抑えるためのモデル構築を始めた。どの程度の陽性率の地域から何人の学生が大学に戻るのか、学内での接触や飲食の頻度、接触時間、寮や教室の占有率など、様々な要因を加えていった。

抑制モデルが出した「興味深い結果」

 約2カ月後、再開への感染抑制モデルが完成すると、興味深い結果が出た。

 大学や寮に学生を戻して定期…

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