旧海軍航空基地跡、法人が入札 「一部でも遺構残して」

榊原織和
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 【島根】国有地で、第2次世界大戦末期に海軍航空基地として造られた大社基地の跡地(出雲市斐川町出西)の売却が決まった。管理する財務省中国財務局が21日、法人に落札されたことを発表した。落札者や落札価格は非公開で、今後の用途は不明。大社基地の歴史を知る人は、遺構の一部でも残してほしいと願っている。

 売却されるのは、滑走路だった約2万7200平方メートル。最低売却価格は1億7600万円で、先月入札を受け付けていた。旧大社基地の跡地は、2003年ごろから県や旧斐川町に部分的に売却された。16年には約1万600平方メートルが企業に売却され、ソーラーパネルなどが建てられていた。今回、その残りのコンクリートが敷かれた空き地すべてが売却された。

 大社基地は1945年3~6月に建設された。飛行隊員約80人が配属され、当時最新鋭の爆撃機「銀河」約50機が配備され、南方へ出撃していたという。

 荒神谷博物館(出雲市斐川町神庭)の企画員で、斐川町の戦争遺構などを研究している宍道年弘さんは、大社基地跡について「周辺の魚雷庫や軍用機を隠した掩体壕(えんたいごう)など、複数の戦争遺構がまとまって残るのは県内でもここだけ。大戦末期の日本軍が拠点の軸足を移そうとしたことも分かる重要な場所」と指摘。「戦争遺構は歴史を知る身近な教材として残しておかなければならない。土地を入札した法人には、一部でも遺構を見ることができるように残してほしい」と望んでいる。(榊原織和)

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