全集中の呼吸で鬼払い 島田・智満寺

阿久沢悦子
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 【静岡】コロナの収束を願い、全集中の呼吸で鬼退治――。島田市にある天台宗の古刹(こさつ)、智満(ちまん)寺で7日夜、正月行事を締めくくる「鬼払い」があった。16世紀から同寺に伝わる奇祭。例年、国内外から100人を超える観光客が訪れるが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、関係者のみ20人で執り行われた。

 寺で鬼が暴れているとの訴えを聞き、午後8時、僧侶が本堂に赴き、読経が始まった。約1時間後、四方の扉が閉められ、あたりは真っ暗闇に。檀家(だんか)衆は鬼払いのため、かねや太鼓を打ち鳴らし、床を棒で突き、足で踏み鳴らし続けた。

 午後9時半、青、赤、白の三体の鬼が金棒の先にたいまつをともして現れ、本堂で乱舞が始まった。鬼が振り回したたいまつの火が僧らの鼻先をかすめる。やがて鬼は、かねや読経からなる「魔除(まよ)けの唱和」に力尽き、本堂の外へ逃げ出した。この時、鬼が投げ捨てたたいまつの燃えかすを拾い、玄関に飾ると、家内安全と無病息災が保たれるという。

 北川教裕住職は「今年は何よりコロナの収束を願い、疫病退散を祈って読経した」。市広報課は「鬼滅の刃を連想させる伝統行事。来年は多くの人が気兼ねなく参加できますように」と話した。(阿久沢悦子)

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