なぜ男の方がコロナで死ぬのか「免疫の老化」に男女差か

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市野塊
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 新型コロナウイルスに感染した場合、男性の方が死亡する確率が高い。そんな傾向が日本もふくめ、世界各国から報告されている。男女の「免疫の老化」の差が、関係しているらしい。

男性の死亡率、女性の1.4倍

 厚生労働省によると、昨年12月28日までに国内で新型コロナに感染して亡くなった男性は1898人、女性は1214人。検査で陽性が確認された人に対する死亡者数を表す死亡率は、男性が1・6%なのに対し、女性は1・2%だった。

 英国などのチームは昨年12月、1~6月までに報告された約311万人分の症例を分析した。男女で感染の割合に統計的に意味のある差はなかったが、集中治療を受ける確率は男性の方が女性よりも2・84倍、死亡する確率は男性の方が1・39倍高かった(https://www.nature.com/articles/s41467-020-19741-6#Abs1別ウインドウで開きます)。

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 男女の死亡率の違いは、過去の感染症でも報告されている。同じコロナウイルスを原因とする2002~03年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)では、中国のチームが香港の約1800人の症例を調べたところ、男性の方が1・66倍死亡率が高かった(https://academic.oup.com/aje/article/159/3/229/79939別ウインドウで開きます)。12年に初めて確認されたMERS(中東呼吸器症候群)では、英国などのチームがサウジアラビアでの約430人の症例を調べると、男性の死亡率が52%だったのに対し、女性は23%だった(https://doi.org/10.2147/IJGM.S67061別ウインドウで開きます)。

 重症化のメカニズムとして指摘されるのが、男女の「免疫応答」の違いだ。

サイトカインの差

 ウイルスや細菌から身を守る免疫システムは、2段階で働く。まず生まれながらに持っている「自然免疫」が働き、次に感染によって得られ、攻撃力の強い「獲得免疫」が働く。

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 免疫細胞からはサイトカイン…

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