肥薩線の線路、道路に活用 被災の住民「ありがたい」

竹野内崇宏
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 昨年7月の記録的豪雨で氾濫(はんらん)した球磨川沿いで、流失を免れたJR肥薩線の線路用地を活用した道路が、地元の人や復旧事業にあたる車両の通行を支えている。鉄道用の信号の下を車が行き交う珍しい光景がそこにある。

 国土交通省熊本県JR九州によると、緊急車両や地元住民だけが通行できる八代市坂本町と芦北町の球磨川沿いの2区間。並行する県道などの代替道路が線路用地に整備されており、今後も増えるという。

 踏切などを除いて線路への立ち入りは鉄道営業法で制限されているが、災害で鉄道が止まり、並行する道路が損壊し復旧工事が必要な場合には立ち入りを許可することがあるという。熊本地震で被災した南阿蘇村豊肥線の線路用地も一時、復旧用道路になった。

 八代市坂本町では中心部と藤本集落を結ぶ県道が崩落。孤立解消のために肥薩線の線路上500メートルを道路として整備した。

 自宅が床上浸水の被害にあった藤本集落の森下仁一郎さん(73)は、この道路を運転して医療機関に卸す魚の仕入れのために八代市中心部に通っている。JR九州によると肥薩線の豪雨被害は450カ所に上るが、森下さんは「線路を使わせてもらい本当に助かっている。山あいは高齢者が多くいずれ運転ができなくなる。肥薩線の復旧も急いでもらいたい」と話す。(竹野内崇宏)

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