韓国の拘置所でクラスター、約3割感染 初動遅れに批判

ソウル=神谷毅
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 ソウルのソウル東部拘置所で新型コロナウイルスの集団感染が発生し、韓国の疾病管理庁によると、1日現在で職員と収容者の945人で感染が確認された。別の拘置所も含めた感染者は1千人近くに及び、そのうち2人が死亡した。所管の法務省と秋美愛(チュミエ)法相に批判が集まっている。

 東部拘置所では昨年11月末に職員1人の感染が判明したが、収容者らの全員検査は12月中旬まで行われなかった。ビル型の拘置所で当時から「3密」による感染拡大が懸念されたが、韓国メディアによると、マスクも予算上の制約から十分に配布されていなかった。

 この間に感染が広がった模様で、検査で陰性だった収容者を別の拘置所に移したところ感染が新たに確認された例もあった。東部拘置所は職員425人と収容者2419人(12月19日時点)のうち約3割で感染が判明。さらに増えて1千人を超えるとの見方もある。

 秋氏が東部拘置所を訪れたのは12月末と初めての感染者の確認から約1カ月も経っていたうえ、この間には尹錫悦(ユンソクヨル)検事総長の懲戒手続きなどに仕事の大半を割いていたことから初動の遅れが批判されている。

 丁世均(チョンセギュン)首相は12月29日、「政府が直接管理する施設で大規模な集団感染が起きたことを申し訳なく思う」と謝罪。検事総長との対立で更迭が決まった秋氏は表には出ず、法務省は31日になってようやく感染発生後に初めてとなる記者会見を開き、対策を発表した。同省の労働組合は同日、管理責任を怠ったとして職務遺棄の疑いで検察に秋氏を告発。秋氏は1日、SNSに「法相として国民に心配をかけた」と謝罪した。(ソウル=神谷毅)

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