【詳報】「桜」問題を陳謝した2人の言葉 国民に届くか

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吉川真布 北見英城 斉藤太郎 鶴岡正寛
【ノーカット動画】菅首相が会見
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 安倍晋三前首相が25日、衆参両院の議院運営委員会に出席し、「桜を見る会」前日の夕食会の問題について追及を受けました。菅義偉首相も記者会見を開きました。新旧首相は何を語ったのか。(吉川真布、北見英城、斉藤太郎、鶴岡正寛)

解説=斉藤太郎記者

準備も気構えも足りない、首相会見

 「感染対策と『Go To(トラベル)』を同時に進めることは『わかりにくい』『不安である』とお叱りもいただきました。私自身、国民のみなさんへのご説明が十分ではなかった面がありました。今後、国民のみなさんに、丁寧にコミュニケーションをとることに努めていきたいと思っています」

 いつもはこわもての菅義偉首相ですが、新型コロナウイルス対策を国民に呼びかける記者会見で、殊勝な姿勢をみせました。自らが自民党二階俊博幹事長らと大人数で会食したことには、「深く反省を致しております」と改めて頭を下げました。しかし、いざ記者たちとの質疑に移ると――。

 感染拡大が収まらない原因や、政府の対応の反省点について質問が出ると、首相はこれまでの政府の施策を説明したうえで「よろしいですか、先生」。隣に立つ政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長に返答のゲタを預けてしまいました。

 そして、「桜を見る会」前日の夕食会の費用をめぐり、安倍晋三前首相が誤った事実を国会で答弁し続けてきた問題。安倍氏のきょうの国会での謝罪・説明の評価を問われると、菅首相からは「私、今日、中身についてはテレビを見てません」との返事が返ってきました。国会中継を見続けるまではしなくとも、せめて内容を把握してから会見に臨むべきではないでしょうか。首相は官房長官時代、安倍氏と同じく事実と異なる国会答弁を繰り返してきた張本人なのですから。

 「ご説明が十分ではなかった」と認めていながら、そのための「準備」や「気構え」が足りていないのは明らかでした。これでは、なかなか国民の心に言葉は届かないのではないでしょうか。

寸評=吉川真布記者

質問に答えない姿勢、1年前と同じ

 昨年11月、安倍晋三首相(当時)の通算在職日数が歴代1位になったころ、首相官邸では、毎日のように私を含めた首相番記者たちが、官邸に出入りする首相に質問を投げかけていた。

 「桜を見る会」をめぐる一連の問題について「もう説明責任を果たしたとお考えか」「後援会主催の行事にもかかわらず、収支報告書に記載がないのは政治資金規正法の趣旨に反するのでは」……。

 だが、首相が答えた機会はわずかだった。11月15日、首相は想定問答を記したとみられる紙に目を落としながら、21分間にわたって取材に応じた。その後は、説明は終わったと言わんばかりに、新たに発覚した問題や首相の説明に対する疑問点への問いには答えず、私たちの前を素通りすることが多くなった。

 1年以上たったきょう、前首相となった安倍氏の姿は、衆参の議院運営委員会にあった。語気を強めて記者に反論したり、質問を無視したりしていた姿とは変わって、神妙な面持ちで席に座っていた。

 だが、野党議員らから疑問を問いただされても、安倍氏の答弁は「秘書に何回か確認し、5千円で完結しているという話だった」「ホテルは、明細書を公表することは営業上の秘密にあたるので、それを前提としたものはお出しできないということだ」。どこかひとごとで、さらなる真相解明には後ろ向きな答弁が目立った。

 国会で追及に答える形はとったものの、正面から答えない安倍氏の言葉。それは、質問に答えず、私の前を歩いて通り過ぎていった1年前の姿勢そのもののように思えた。

18:55

挙手が続く中、会見終了

 菅義偉首相の会見は、複数の記者が挙手を続けて質問を希望する中、「次の予定」を理由に1時間にも満たずに終了した。司会を務めた山田真貴子内閣広報官は「質問を希望して挙手されている方がたくさんいるので、各1問を事務局などにメールでいただければ、総理の答えを書面で返す」とアナウンスした。

18:50

安倍氏の説明「テレビ見てない。これから精査」

 安倍晋三前首相は「桜を見る会」前日の夕食会の問題について、24日の記者会見や25日の国会出席によって説明責任を果たしたのか――。菅義偉首相が記者から問われた。

 菅首相は「安倍前総理は記者会見されて、国会の求めに応じて今日、国会で説明をされている。ですから、そのことにおいて、説明はされてきたんじゃないでしょうか」と述べた、

 記者から安倍氏の説明の「中身」について問われると、「今日、中身については(国会の)テレビを見ていませんでした。いずれにしろこれから、そこはしっかり精査したい」と述べるにとどめた。

18:30

解散時期を問われ「当面はコロナ対策」

 菅義偉首相は新型コロナウイルスのワクチン普及が衆院解散時期に影響するかどうかを問われ、「当面は新型コロナウイルス対策に全力で取り組んでいきたい」と答えた。

 そのうえで「来年秋までと衆院解散は時間が決まっている。私の国民のみなさんへの責務は、感染拡大防止だ。接種した結果は、まだこれからのことだ。仮定については答えるべきでない。とにかく感染拡大防止を全力でやる」と述べた。

18:25

「桜」問題、事実と異なる答弁「大変申し訳ない」

 安倍晋三前首相の後援会が「…

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