コロナ対応「失敗」 スウェーデン国王、異例の政策批判

ロンドン=下司佳代子
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 スウェーデンのカール16世グスタフ国王(74)が、新型コロナウイルスの対応について「私たちは失敗したと思う」と述べた。同国の公共放送SVTが17日、伝えた。多くの死者が出ていることを受けたもので、政治とは距離を置く国王が「政策の批判」(ロイター通信)と受け取られる発言をするのは異例だ。

 国王は、王室の1年を振り返る毎年恒例の番組のインタビューに答えた。「私たちは多くの死者を出した。それはひどいことだ。私たち全員を苦しめるものだ」「亡くなる家族に温かい別れの言葉を告げられなかった人たちのことを思う。つらく、心に傷を残す経験だろう」などと語った。番組は21日に放送される予定で、一部が17日に報じられた。

 欧州各国が外出制限や店舗閉鎖を伴うロックダウン都市封鎖)に踏み切る中、スウェーデンは強制的な措置を極力避ける「緩め」の戦略をとってきた。マスクの着用は求めておらず、飲食店も社会的距離を取るなど一定の制限はありつつも営業を続けている。こうした戦略は、国民から一定の支持を得る一方で、死者は北欧では突出して多い約7900人にのぼる。人口100万人あたりの死者は772人(16日時点、英オックスフォード大調べ)で、1千人を超えるイタリアスペインなどよりは少ないが、74人のノルウェー、168人のデンマークなど近隣諸国よりはるかに多い。科学者らからは、より厳しい対応を求める声が強まっている。

 スウェーデン王室は先月末、国王の長男カール・フィリップ王子(41)とソフィア妃(36)が新型コロナウイルスに感染したと発表していた。症状は軽いという。(ロンドン=下司佳代子)

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