街角のカラス、壁に当たる光 若手美術作家が込めた思い

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千葉恵理子
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 40歳以下を対象とし、若手の現代美術作家の登竜門とされる公募展「シェル美術賞」の今年の受賞作品が決まった。混迷する世の中がどこに向かうのか。作品には、コロナ禍の影響が色濃く表れている。

 グランプリは、今西真也さん(1990年生まれ)の油彩画「Story―Where are we going?」。モチーフを描いた後、その上に白い絵の具を塗り重ね、筆で掘り出している。下の絵の具の色と白い絵の具が混じり合い、波のような凹凸を作り、モチーフが浮かび上がる。「見えるものと見えないものの間に興味がある」といい、この手法を選んだ。

 これまで今西さんは、花火、稲妻など現実にあるものを描いてきたが、受賞作のモチーフは古事記に出てくるカラス。人々が外出を控え、人がいない街角にカラスがたくさんいる様子が心に残ったという。古事記のカラスは案内役を務めたと言われ、先の見えない今の状況から導いてくれるとの意味合いも込めた。

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