イノシシ飛び出し注意 秋~冬、交通事故多発、けが人も

米田悠一郎
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 長崎県内で10月以降、イノシシと車やバイクがぶつかる事故が相次ぎ、けが人も出ている。年末年始を控えて車での行き来が増えるこの時期、動物との衝突事故に気をつけるよう、県警は注意を呼びかけている。

 西彼杵半島の西端を通り、長崎市中心部に至る国道202号。稲佐山の山すそ付近にかかる同市福田本町付近は、郊外と市中心部を結ぶバスが盛んに行き交う道だが、街灯がなく暗い場所もある。

 2日夜、この国道で事故があった。100ccのバイクに乗った30代男性が市中心部に向け走っていると、突如、道路を横切ってきた体長1・4メートルのイノシシと衝突した。男性はぶつかった衝撃で転び、胸や右手の骨を骨折。病院に運ばれ、命に別条はなかったが、現在も入院しているという。一方のイノシシは、現場付近で倒れ、そのまま死んだ。

 西海市西彼町鳥加郷の国道206号では、車4台が絡む事故があった。10日午後6時ごろ、乗用車の右側に体長1・5メートルほどのイノシシが衝突。はずみで対向車線にはみ出したイノシシを、走ってきた軽トラックなど計3台がひいたりぶつかったりした。車同士の衝突はなく、運転手の男性計4人にけがはなかったが、最初にイノシシにぶつかった車は右前部やドアが大きくへこみ、修理を強いられた。

 県警交通企画課によると、県内の道路(高速道路含む)では、毎年10月から1月ごろにかけてイノシシが絡む事故が増える傾向にあるという。接触するのは車が多く、人身事故は少ないが、車が破損するなどの物損被害が出ている。

 県農山村対策室の担当者は、冬にかけてイノシシとの接触事故が増える理由について「ドングリなど山で食べるものがなくなり、イノシシが人里までえさを求めて下りてくるのでは」とみる。市街地では、春先にも目撃例が多くなるという。

 イノシシなど動物が出やすい場所には標識が設けられている。県警は、冬の夜間は、標識のない場所でも「イノシシが出てくるかもしれない」と警戒するよう呼びかける。接触事故が発生した場合は、落ち着いて車を道路脇に寄せて安全を確保し、イノシシには触れずに110番通報してほしい、としている。(米田悠一郎)

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