聞き手・岸善樹
「かぼすブリ」や「みかんブリ」、「信州サーモン」……。スーパーや飲食店で、個性的なブランド魚をみかけるようになりました。これらはすべて養殖ものです。魚を育て、販売するプロのための月刊誌が「養殖ビジネス」(緑書房、税込み2200円)。どんな雑誌なのか、秋元理(ただし)編集長(40)に聞きました。
――スーパーの魚売り場で見ると、マダイも「天然」と「養殖」がありました。養殖魚はどれぐらいの割合を占めるのですか。
「国内の生産量の20%を超えるぐらいが養殖です。マダイやブリ、クロマグロ、クルマエビ、トラフグ、シマアジ、ウナギ、ニジマス、アユ、コイ、カキ、ホヤなどは養殖が天然を上回ります」
――魚の養殖はいつごろ始まったのですか。
「江戸時代の文献にコイやカキ養殖の記述がありますが、大きく発展したのは第2次大戦後です。人口増加に伴って水産物への需要が増え、『とる漁業から育てる漁業へ』といわれました。産業として発展するためには、最新の技術や業界動向を知るための情報源が欠かせません。『養殖ビジネス』の前身の雑誌が創刊されたのは1964年です」
――前身? 当初はちがう雑誌だったのですか。
「『養殖』という名前でした。『養殖ビジネス』になったのは2012年です。人口が増えている時代は、つくればつくるだけ売れました。でも、そんな時代ではなくなりました。育てるだけでなく、売ることも考えようというねらいです。食べるシーンを想像しながらでなければ、売れる魚は育てられません。回転ずしで『よく食べられているネタ』をご存じですか」
――マグロでしょうか。
「1位は男女ともサーモンです。マグロは2位です。実は、すしネタでサーモンを食べられるようになったのは、養殖のおかげです」
「天然のサケ・マス類には、ま…