造山古墳から埴輪列、有力者の墓説を裏付け

菅野みゆき
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 5世紀前半ごろに築かれ、全国4番目の規模を誇る前方後円墳「造山(つくりやま)古墳」(国史跡、岡山市北区新庄下)で、埴輪(はにわ)を並べた列が初めて見つかった。発掘調査した市教委によると、古墳築造時の具体像につながり、吉備地方を治めた有力者の墓とする説を裏付けるものだという。

 古墳は3段築造。全長約350メートルとされるが古墳の正確な範囲は分かっていない。市教委は2016年度から本格的に造山古墳の調査を開始し、正確な形の解明などを目指している。

 埴輪列が見つかったのは北側の後円部。埴輪はいずれも直径約30センチで、上部はなく底部だけが残っていた。1段目のテラス(平たん面)では5本、2段目からは4本の円筒埴輪(はにわ)が、いずれも約2メートルにわたって並んだ状態で発掘され、2段目の別の場所からも2本を確認。この2本はかつて列だったものが、斜面の崩壊で流されたとみられる。いずれも墳丘の形に沿って残っており、かつては各段を巡っていたと推定される。

 また各段の斜面を覆う葺(ふき)石なども出土。平たん面の幅や傾斜角度の推定につながり、築造時の姿に墳丘を修復する際の重要なデータとなるという。

 市教委はこれまで周縁部に限り発掘を続けてきたが、今回は墳丘内側を初めて調査。18年の西日本豪雨で崩落が発生したため、今後の修復に向けて調査を急いだという。

 寒川史也・文化財課主任は「葺石や埴輪列は多くの人手が必要で、改めて古墳の格の高さを実感した。古墳の保存に多くの人が関心を持つきっかけになれば」と言う。

 造山古墳の今年度の調査は終わり、現地では埋め戻しが進められている。

 国内最大の大山古墳(伝仁徳天皇陵、堺市、全長486メートル)など巨大古墳の多くは宮内庁が管理し、原則非公開。造山古墳は墳丘に立ち入れる古墳としては最大とされる。(菅野みゆき)

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