6歳は尋ねた「魔法の本ある?」 司書は魔法使いだった

有料記事いつも、どこかで

若松真平
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 5年前の2月27日、6歳の男の子が母親と一緒に蒲郡市立図書館(愛知県)を訪ねてきた。

 司書がいるカウンターの前でもじもじしている息子は、母から「言ってみ、言ってみ」と促されて、こう言った。

 「魔法の本ありますか?」

 司書の三浦佳穂さん(41)が「魔法が使えるようになりたいの?」と聞き返すと、男の子は「うん」とうなずいた。

 漢字が多く出てくる本でもいいか尋ねると、「ちょっと難しい本でもがんばって読む」と言った。

 三浦さんは「魔法の本かー、うーん」と考えを巡らせた。

 保育園に通っている自分の息子と年頃が近いこともあって、なんとかして納得のいく1冊を紹介したかった。

 「そんなのわかりません」「探せません」とは言えない。この子の夢を壊すことなく一緒に調べたい、と思った。

 児童向けコーナーを担当するようになって2~3年。対象の本は10万冊ほどで、新刊が入るたびにすべて目を通している。

 世界の文化コーナーかな、いや、はやりの妖怪ものの棚にあったかも……。あたりをつけて3人で棚に向かった。

 魔女や妖精の本を手にとって、6歳でもわかるように図鑑を中心に3冊をピックアップ。

 男の子はパラパラとめくりながら、借りる2冊を自分で選んだ。

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 そのうちの1冊には、魔法を…

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