拡大する写真・図版「東京アラート」の発動を受けて警戒を呼びかける赤色にライトアップされた東京都庁=2020年6月2日午後11時33分、東京都新宿区、長島一浩撮影

 新型コロナウイルスとのつきあいが続く中、私たちは知らないうちに様々な色眼鏡でものごとを見ていないだろうか。人は誰しも、偏見や固執、先入観や偏った見方など「バイアス」からは逃れられない。認知科学研究の第一人者で、最近「認知バイアス 心に潜むふしぎな働き」を出版した青山学院大の鈴木宏昭教授に、バイアスの怖さと、そこから逃れるためのコツを聞いた。

揺れる「GoTo」に悩む国民

 ――政府や一部の自治体が「Go To トラベル」事業の自粛を求めており、年末の帰省をどうすべきか多くの人が悩んでいます。

 「コロナ禍において政府は、国民を動かそうとする多くの耳慣れない言葉を使ってきました。わざわざなじみのない外来語を使い、翻訳語にない意味をつくりだす例が目立ちましたね。バイアスというわけではありませんが、こうしたやり方には人々の考え方に与える二つの作用があります」

 「その代表例の一つが『Go To トラベル』と言えるでしょう。これって直訳すると『旅行促進・推進事業』という意味です。いくらなんでもそんなこと言うと、多くの人から『こんな状況に何を!』という反論も出るであろうところを英語を使うことで、なんとなくあいまいに緩和する効果があったと思います」

 「反対に『オーバーシュート』…

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