韓国の微妙な立場突く中国外交 米国との距離感揺さぶる

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ソウル=神谷毅 北京=冨名腰隆
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 中国の王毅(ワンイー)国務委員兼外相は11月26日、訪問中の韓国で康京和(カンギョンファ)外相と会談し、文在寅(ムンジェイン)大統領とも面会した。韓国外交省によると、中国側が習近平(シーチンピン)国家主席の訪韓の意思を再確認したうえで、両外相は新型コロナウイルスの感染状況などを注視しながら、早期の実現に向けて積極的に意思疎通を行っていくことで一致。韓国が議長国として年内にも開催を模索する日中韓首脳会談についても、早期開催のため協力を続けることで合意した。今後も朝鮮半島の状況を安定的に管理しながら平和プロセスを進展できるよう緊密に協力することを確認した。

 外相会談では北朝鮮についても議論があったようだ。南北関係の改善が進まないなか、文政権は来夏の東京五輪を舞台に北朝鮮との外交を前進させる青写真を描く。ただ、その間に北朝鮮が弾道ミサイル発射などの軍事行動に出れば、この構想も水の泡。韓国政府関係者は「挑発を自制して対話に出てくるよう中国から北朝鮮に話してもらうことが重要だ」と語る。

 北朝鮮と対峙(たいじ)する韓国は、安保を米国に、経済は中国に依存する。韓国政府高官は「どちらか選ぶものではない。生存のためには両方が必要だ」と話す。

 微妙な立場を熟知してか、中国側は硬軟織り交ぜて韓国側にアプローチしている。

 8月には外交トップの楊潔篪(ヤンチエチー)共産党政治局員が訪韓した。今回の王氏の訪問に加え、習氏の訪韓まで話し合った。中国の要人がここまで相次いで一つの国を訪れるのは異例だ。米中対立のなか、中国には米国の同盟国である韓国を引き寄せる狙いがあるようだ。

 韓国外交省の関係者に対し…

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