もう、ちあきなおみはいないの 最後のマネジャーの回顧
編集委員・小泉信一
「喝采」「四つのお願い」「夜間飛行」など多くのヒット曲を出した歌手ちあきなおみさん(73)。だが1992年、事務所社長でもあった夫・郷鍈治(えいじ)さんが肺がんのため55歳で逝って以降28年、活動を休止している。いまも沈黙を続ける理由は何か。最後のマネジャーが「伝説の歌姫」の素顔に迫る手記を出した。
「ちあきなおみ 沈黙の理由」(新潮社)。著者はちあきさんが歌手活動を停止する前年の91年から8年間マネジャーをしていた古賀慎一郎さん(53)。現在は故郷の名古屋市に戻り、サービス業をしている。
書き始めたのは2018年5~6月ごろ。「ちあきさんはシャンソンやポルトガルの民族音楽ファドまでこなせた天才。僕自身50歳を過ぎ、自分の人生を振り返る中で、その栄光と舞台裏を語り継ぐのが責務ではないかと思うようになった」。原稿用紙にして300枚ほどになったという。
しっとりとした情感に富み、心のひだにまとわりつくような抜群の歌唱力。歌の主人公が目の前に現れ、ドラマを見ているような感覚に陥るのがちあきなおみの世界と言えるだろう。
だが華やかな舞台とは違い…