東京湾の最深部に江戸前の情緒 海鳥に神業の美しさ

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文・大嶋辰男 写真・関田航
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 東京湾の最奥部に、埋め立てや都市開発の波をすり抜けた干潟が広がる。都会の一角に、江戸前の情緒を残す。

 干潮時には波打ち際まで数百メートルの干潟が現れる。黒い砂は意外と硬く、歩くと「ギュッギュッ」と音がした。この下に、多くの貝やカニが生きる。それを狙い、野鳥たちが夢中で砂をつついていた。

 千葉県の浦安、市川、船橋、習志野4市にまたがる「三番瀬(さんばんぜ)」。浅瀬と干潟で計1800ヘクタールあり、近くにある東京ディズニーランド35個分の広さがある。東京湾の最奥部。1990年代には大幅に埋め立てて幹線道路や住宅などにする計画が本格化したが、知事選の争点にもなり、今の姿が守られた。

 バードウォッチャーの楽園だ。越冬する数万羽のスズガモなど、野鳥とカメラの間を遮るものはなく、ある程度近づくこともできる。

 県内に住む迷彩服姿の70代男性の狙いはミヤコドリ。米国などから日本に飛来するうち7~8割の400羽程度が三番瀬に集まるという。退職後、600ミリの超望遠レンズを思い切って買った。「レンズを通して見る鳥の羽はぞくっとするくらい美しい。人間には作れない完璧さ。神業だって思う」

 三番瀬や周辺の海は、もともと豊かな漁場で「江戸前」と呼ばれた。江戸時代は、ここでとれた海産物が将軍家に献上された。今も周辺で養殖されるのりは高級のりになるという。船橋市漁業協同組合によると、スズキや、かつて「大アサリ」とも呼ばれた北米原産のホンビノス貝が、特産として水揚げされている。

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 干潟からは浦安の高層マンシ…

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