東電のダムで「瀬切れ」深刻 魚遡上できず生態系影響も

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北沢祐生
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 信濃川水系梓川にある東京電力の水殿(みどの)ダム(松本市)で、ダム湖に注ぐ支流の水殿川の流れが途切れる「瀬切れ」が深刻になっている。特に7月の豪雨で多くの土砂が上流から流れ込んで河床が上昇し、瀬切れが常態化。環境団体は「イワナなどが産卵のために遡上(そじょう)できず、沢の生態系への影響が懸念される」と東電に対策を求めている。

 瀬切れが起きている水殿川の現場。「渓流保護ネットワーク・砂防ダムを考える」などの4団体が今月5日、ダムを管理する東電リニューアブルパワー松本事業所の担当者4人に「1年を通して川とダムがつながるように」と必要な対策の実施を申し入れた。

 なぜ、瀬切れは起きるのか。渓流保護ネットの田口康夫代表は、1992年に水殿川の水殿ダム湖に流れ込む地点から約2キロ上流に東電の取水施設ができたことで大幅に流量が減少した、と指摘する。

 同事業所によると、取水量は最大で毎秒5トン。この水は水殿ダム上流の奈川渡(ながわど)ダムに送られている。東電は下流の稲核(いねこき)ダムも合わせ、上高地に通じる国道158号沿いの梓川に並ぶこの三つのダムで発電し、首都圏に送電している。

 田口さんによると、取水で川の流れはダム湖に届かず、魚が通れなくなった。約20年前、団体側の要望で一度は東電が5メートルほど河床を掘り下げ、瀬切れは解消されたという。

 しかし、この間の土砂流入などで河床は再び上昇。7月の豪雨が追い打ちをかけ、同事業所によると、さらに約1・8メートル高くなっていた。田口さんはここ数年は瀬切れが恒常化しているとみる。

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 こうした現状を受け、同事業…

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