「自分事と捉えて」 旧大川小、研修に立った遺族の思い

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窪小谷菜月 大宮慎次朗 近藤咲子
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 東日本大震災から10年となるのを前に、宮城県教育委員会が新任の校長を対象に旧大川小学校石巻市)での研修を初めて実施した。「心の奥底に響いた」「意識が変わる」。新任の校長たちは、84人の児童と教職員が犠牲・行方不明になった校舎を前に、防災の取り組みを誓った。

 「自分の学校を思い浮かべて欲しい」。4日朝、旧大川小に集まった90人の新任校長を前に、元中学教員の佐藤敏郎さん(57)が語りかけた。校舎は震災遺構として残すための工事が続いていて、校舎内に入ることはできず、遠めからの見学になった。

 小学6年の次女みずほさん(当時12)が犠牲になった佐藤さんは、被災前の校庭の様子を映した写真などを見せながら説明。海から約4キロも離れた校舎に津波が押し寄せたことや、遺族であり教員でもあった立場から、「どう受け止めればいいか今もわからない」と率直な思いを口にした。

 「他人事を自分事と捉える想像力が大切だ」と訴えたのは現役の中学校長で、小学6年だった長女の小晴さん(当時12)を失った平塚真一郎さん(54)。学校側の責任を認めた大川小判決について、「最前線で一生懸命やった先生自身も命を落としたのに、なんで先生が責められるのかと思った人もいるはず。自分もそうだ」と振り返った。

 それでも、親の立場からすると、「我が子を失った事実の前には、どんなプロセスも無になる。正解はなくても、一つひとつの命に背景があったことを考えなければならない」と訴えかけた。

 現地研修が終わった後、平塚さんは取材に「学校は教職員と子どもたちの命を守る場所だと心にとめて、学校経営にあたってほしい」と話した。

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 参加した新任校長は、時折う…

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