解決見えぬ元徴用工問題 韓国教科書はどう書いている?

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ソウル=鈴木拓也
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 日韓関係悪化のきっかけになった元徴用工問題は、双方の主張に大きな隔たりがあり、解決の道筋は見えない。1965年の日韓請求権協定で解決済みというのが日本側の立場だが、韓国世論には今も謝罪や賠償が必要との考えが強い。なぜなのか。韓国の歴史教科書にそのヒントを探った。

 「日本は強制徴用を謝罪しろ」「判決に従い、賠償しろ」。元徴用工への賠償金支払いを日本製鉄(旧新日鉄住金)に命じた大法院(最高裁)判決から2年を迎えた30日、ソウルの日本大使館前には原告の支援団体のメンバーら約20人が集まり、抗議の声を上げた。支援団体の幹部は「歴史的な判決を日本政府は国際法違反と言うが、誰が強制徴用をしたのか。恥ずかしくないのか」と訴えた。

 日本のNPO法人「言論NPO」と韓国のシンクタンク「東アジア研究院」が、日韓で今秋に実施した世論調査によると、日本では半数近くが韓国の印象を「良くない」と回答。その理由として最も多かったのが、「歴史問題で日本を批判し続けるから」だった。6割近くが、「韓国の反日教育や教科書の内容」に問題があるとした。

 日韓請求権協定は、日本が韓国に無償3億ドル、有償2億ドルの経済協力金を供与し、両国とそれぞれの国民間で「請求権」の問題を「完全かつ最終的に解決されたことを確認する」と明記する。韓国政府も2005年に、日本から得た3億ドルのなかに「強制動員被害の補償問題の解決」が含まれるとの見解を発表。慰安婦問題とは異なり、徴用工問題は外交上解決済みとの立場を示していた。

 だが、2年前の韓国大法院の判決は、日本の植民地支配はそもそも「不法」だった強調。不法な植民地支配下で受けた「精神的苦痛」に対する「慰謝料」は請求権協定の対象外であると認定した。

 韓国の歴史教科書も、この協定を否定的に書く。

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