新型コロナウイルスの影響で、大学のスポーツ推薦入試を巡る現場に変化が起きている。全国高校総体などの相次ぐ中止で、例年重視されていた公式戦での実績を考慮できなくなったためだ。そんな中、工夫を凝らして進路を切り開こうとする高校生がいる。大学側も、出願資格の緩和などで対応を試みる。
「このまま大学に見てもらえないのでは、という不安があった」
大阪・興国高ラグビー部3年の清家聖(せいけひじり)(18)は打ち明ける。177センチ、80キロ。突破力に自信を持ち、大学でもラグビーを続けようと公式戦でアピールするつもりだったが、2月の近畿大会の予選以降は試合が途絶えた。大学のリクルーターらにプレーを見てもらう機会を失っていた。
5月、監督の助言を受け、自身のプレーを集めた動画を2日間かけて作り、SNSで発信した。後に高校生の進路支援活動として話題になった「#ラグビーを止めるな」の先駆けだ。すると、昨季の全国大学選手権に出場した朝日大の関係者から「スポーツ推薦で受けてみないか」と誘いがかかった。
これまで朝日大に進んだ部の先輩はいないが、「ありがたかった」と清家。11月の試験に向け、小論文や面接の準備を進めている。
スポーツ推薦の概況を調べるために朝日新聞社が今夏、強豪大87校を対象に行ったアンケート(76校が回答)では、コロナ禍への特例的な対応として、出願資格の緩和やオンライン活用の広がりが示された。
昨年度、野球やバレーボール…