トヨタ系のジェイテクト、反転攻勢「3療法」でかじ取り

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三浦惇平
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 トヨタ自動車系大手部品メーカーのジェイテクトは、車輪の動きをタイヤに伝えて方向を変えるステアリングの世界最大手だ。2020年3月期は新型コロナウイルスの影響もあり、10年ぶりの純損失となった。業界は自動運転など「100年に1度」といわれる変革期。収益力と体質強化へ向け、どうかじを切るか。トヨタで品質保証を長く担当し、今年6月に就任した佐藤和弘社長に聞いた。

ジェイテクトの本社は名古屋市と大阪市。光洋精工と豊田工機が合併して2006年に設立。ステアリングは世界トップシェア。回転部分を支える軸受けなどにも強みをもつ。バレーボール男子Vリーグの「スティングス」が昨季優勝し、エースの西田有志選手は日本人初の得点王に輝いた。

10年ぶりの赤字

 ――2020年3月期は37億円の純損失でした。純損失は10年ぶりです。

 「赤字を真剣に受け止めないといけません。新型コロナウイルスの影響は不可抗力に近いところもありますが、(約10年前の)リーマン・ショックで痛い目にあって、売り上げが3割落ちても耐えられる会社をめざしてきました。しかし、売り上げが少し落ちると赤字になっていることが問題です。3割減では無理でも、2割減で耐えられる財務体質にしようとしています」

 ――21年3月期も260億円の純損失を見込んでいます。

 「若干厳しめに見ています。最大の懸念は、ASEANの回復が遅いことです。中国とともに、ASEANは、利益の柱です。感染も広がっていますし、政府がきちんと対応できず、立ち直りが遅くなると、コロナが収まったとしても、国民の所得も下がり、車などに使うお金が減ると懸念しています」

 ――収益力の強化に向けた課題をどう考えますか。

 「(回転する軸を支える部品の)軸受けや(車の進行方向を変える)ステアリングなど多様な事業と技術が強みで、子会社にも電子部分の熱処理など世界的に強いものを持っています。しかし、市場の需要に基づく『マーケットイン』ではなく、作り手の理論や計画を優先させた『プロダクトアウト』型なところは変えていく。よりお客さんを向いて仕事をしていくことが大事になります」

脱・作り手の論理

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 ――具体的には、どのような…

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