「人生が踏みにじられた」石木ダム訴訟、住民が意見陳述

山野健太郎
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 長崎県佐世保市が建設を進める石木ダムをめぐり、住民らが関連工事の差し止めを求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が8日、福岡高裁(矢尾渉裁判長)であった。住民らは工事について、故郷で暮らす「人格権」を侵害するものだと主張し、県と市は控訴棄却を求めた。

 原告は、ダムで水没する長崎県川棚町の川原地区の住民13世帯や支援者ら403人。一審・長崎地裁佐世保支部判決は、人格権は内容や範囲が不明確で、差し止めの根拠にならないとして請求を棄却した。

 この日は住民の岩下すみ子さん(71)が意見陳述し、地区の自然豊かな四季の情景を織り込んだ歌の歌詞を読み上げた。「私たちの人生がダム事業に踏みにじられ、何十年も重ねてきた暮らしが強制的に排除されようとしている。13世帯を少数者だとして切り捨てないで」と訴えた。

 石木ダムは佐世保市に水を供給するとともに、周辺の川棚川流域の水害を防ぐことを目的とする多目的ダム。1975年に建設が決まったが、住民らの反対運動でダム本体は着工していない。住民らが国に事業認定の取り消しを求めた別の訴訟では昨年11月、福岡高裁が住民側の訴えを棄却。住民側は上告している。(山野健太郎)

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