無名の洋画家通じ、学ぶ戦後史 BC級戦犯の釈放訴えた

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浪間新太

 全国的にはほとんど知られていない洋画家が、来年度から使われる中学の歴史教科書に掲載される。戦後、フィリピンで収監された旧日本兵のBC級戦犯の釈放に尽くした島根県安来(やすぎ)市出身の加納(かのう)莞蕾(かんらい)(1904~77)。フィリピンの人々のためにも、日本人は過去を反省し、平和な国をつくらねば――。戦後75年、その思いに光があたる。

 取り上げたのは帝国書院「中学生の歴史」。現代の章の1ページ目のコラム「未来に向けて 旧日本兵の解放」で紹介される。「フィリピンのキリノ大統領やローマ教皇などの各界の有力者に対して、戦犯釈放を訴える大量の手紙を送り続け、釈放への道を開きました」と記され、来日したキリノ元大統領と笑顔で握手する写真が添えられた。

 執筆者の一人、日本女子大学の成田龍一名誉教授(日本近現代史)は「教科書に固有名詞を登場させるハードルは高く、無名の莞蕾は検定を通らない可能性もあると思っていた」と打ち明ける。

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