「あれ、なかったことで」河井夫妻公判、受領者の証言は

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松島研人
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 元法相で衆院議員の河井克行被告(57)と妻で参院議員の案里被告(47)による買収事件の公判が、東京地裁で続いている。これまでに、政治家として現金を受け取ったとされる8人が出廷し、証言した。その内容は――。

受領者ら「裏金だと思った」

 1日午前10時。東京地裁の法廷に、黒っぽいパンツスーツ姿の案里議員が入廷した。裁判長らに一礼し、被告人席についた。この日は今後の審理内容を話し合い、20分ほどで終了した。

 夫妻から現金を受け取ったとされる政治家(当時)の証人尋問は9月16日に始まり、これまでに8人が出廷した。「表に出せない裏金だと思った」「(案里議員を)応援してほしい趣旨のお金」などと、票のとりまとめを依頼する夫妻の意図を感じたと証言した。今年4月の報道陣の取材に買収や違法性の認識を否定していた小坂真治・前安芸太田町長も「(現金は)違法性のあるもの」と述べた。

 「領収書を書こうと言うと、『いらなーい』と軽い口調で言われた」「疑惑発覚後に案里議員から『あれ、なかったことでいいよね』と電話があり、口裏合わせだと感じた」といった証言もあった。

 これに対し、夫妻は現金提供の事実をおおむね認めたが、「当選祝いや陣中見舞いで、選挙運動の報酬ではない」と主張している。

 東京地検は被買収側100人の刑事処分を出しておらず、案里議員の弁護側は「起訴しないと約束して供述を引き出した疑いがある」と訴える。弁護側は、案里議員から現金を渡された県議3人に対し、検察の取り調べで被買収側の処分についてのやりとりがあったのではと尋ねたが、全員が否定した。だが議員の一人は、偽りなく証言したと断言した上で、こう言う。「刑事処分されれば議員の職を失うということは、意識せざるを得ない。どうしても検察側に忖度(そんたく)した証言になってしまった」

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