第6回トランプ氏は「我が国史上最高の友人」 恩恵計り知れず

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エルサレム=高野遼
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 トランプ米大統領と「よき友人」となることで、大きな恩恵を得た国もある。その道を歩んだ代表格が、イスラエルのネタニヤフ首相だ。この4年間で驚くほどの成果をあげた一方、それはトランプ氏と一心同体となるリスクを冒す選択でもあった。

 土曜日の夜になると、エルサレム首相公邸前の交差点には数千人の群衆が集まってくる。やがて、かけ声が響き出す。

 「誰もが政府に反対だ」

 ネタニヤフ首相の退陣を求める毎週恒例の抗議デモ。新型コロナウイルスで経済が悪化した7月に本格化し、いまも勢いが続く。

 「汚職や権力争いばかり。将来のための政治をやってくれ」と若者の一人は言った。ネタニヤフ氏は三つの汚職事件で起訴されて、5月から公判中だ。それでも続投にこだわる首相への不満が、参加者たちを突き動かす。

 しかし、ネタニヤフ氏への支持は大きく揺らいではいない。起訴後も総選挙を経て政権を維持し、世論調査では与党が支持政党トップの座を保っている。

 なぜなのか。その秘訣(ひけつ)は「トランプ流」の政治手法にあるとみられている。ネタニヤフ氏の選挙運動を分析した著作を持つオノ・アカデミック大学のエレツ・ヤコビ講師は「支持基盤となる右派層の人々の心をつかむ達人だからだ」と話す。

 典型が、国民を「敵と味方」…

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この記事を書いた人
高野遼
アメリカ総局
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国際ニュース

連載きしむ世界 トランプ流の4年(全16回)

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