国連事務総長、安保理改革に言及「世界情勢と合わず」 

ニューヨーク=藤原学思
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 国連のグテーレス事務総長は9日、朝日新聞など日本メディアの取材に応じ、国連の安全保障理事会について、「もはや今日の世界情勢と合っていない」と述べた。グテーレス氏は理事国の構成や投票権の改革の必要性を訴えたが、実現は極めて困難だ。

 安保理は15の理事国から構成されるが、米国、英国、フランス、ロシア、中国の常任理事国5カ国が「拒否権」を持っており、国際社会に重要な影響を与える決議案でも、このうちの1カ国が反対すれば採択されない。近年は特に、常任理事国が自国の利益のために行動する傾向が顕著で、新型コロナウイルスの拡大に伴う停戦決議案はグテーレス氏の呼びかけから採択まで、100日かかった。

 グテーレス氏は、安保理が第2次世界大戦の法規に合致しているとする一方、「世界で起きた変化を十分に考慮して改革できなかった」と批判。「安保理の改革なくして国連の改革はない」と強調し、国連総会や安保理がしっかりと議論するよう促した。ただ、安保理改革のためには国連憲章を改正する必要があり、常任理事国5カ国全てを含む129カ国の批准が欠かせない。実現に向けた道筋は立たず、近年は議論も盛り上がっていない。

 グテーレス氏はまた、「来年、広島に行くことができるよう期待している」と述べた。被爆、国連創設からともに75年の節目となった今年も訪問を予定していたが、新型コロナの感染拡大に伴い、断念していた。(ニューヨーク=藤原学思

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