第4回トランプ氏の陰に「貿易将軍」 米中関税合戦に戦略あり

有料記事トランプ氏の権力

ワシントン=青山直篤
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 「米国は本来、もっと早く行動を起こすべきだったのであり、大統領はきわめて賢明なやり方でその行動を取った。関税をかけたからこそ、中国側とも建設的な対話ができたのだ」

 8月25日、朝日新聞の取材に答えた米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表の口調は自信に満ちていた。

 制裁関税を使った中国との貿易紛争は、トランプ政権の特徴の一つ。ライトハイザー氏は「貿易紛争の将軍」(ワシントン・ポスト)として、米側の交渉責任者を務めてきた。

 トランプ大統領は2016年の大統領選で、中国への強硬姿勢や貿易自由化の弊害を訴え、労働者層に支持を広げた。就任後は、環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉などを、公約通りに実現した。ただ、大統領としての対中戦略が一貫していたわけではない。

 18年5月、トランプ氏のツイートが世界を驚かせた。「中国の雇用があまりに多く失われた。中国の習主席と私は、巨大電話会社ZTEが事業に戻れるよう協力している」。次いで「大きな貿易ディール(取引)や習主席との個人的関係もある」と投稿した。

 中国通信機器大手ZTE(中興通訊)は、米議会が安全保障上の脅威と警戒し、米商務省も法令違反の疑いで制裁対象とした。だが、トランプ氏は習近平(シーチンピン)国家主席との会談後、ツイートで制裁を緩和したのだ。

ぶれない交渉者

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